経営者なのに、日々のタスクに追われていませんか?
「今日も雑務だけで一日が終わってしまった」 「新しい戦略を考える時間がなかなか取れない」 「優先順位がつけられず、結局、何から手をつければいいか分からない」
スモールビジネスの経営者や「ひとり起業家」として活動していると、このように感じることが日常茶飯事かもしれません。やるべきことが多いのは、それだけビジネスが動いている証拠でもありますが、経営者本来の仕事ができなければ、事業の成長は鈍化してしまいます。
なぜ社長の時間は「足りなく」なるのか
経営者の時間が足りなくなる大きな理由の一つとして、業務範囲の広さがあります。一般的な会社員であれば担当業務が決まっていますが、ひとり社長の場合は、顧客対応やトラブル処理といった「緊急の仕事」から、経営戦略や新サービス開発といった「重要な仕事」まで、すべてを自分で判断し、実行しなければなりません。
特に「緊急の仕事」は目の前で発生するため、どうしても優先してしまいがちです。その結果、長期的な成長に必要な「重要な仕事」が後回しになり、常に時間に追われる感覚に陥ってしまうのです。
「やらないこと」を決めるのが経営者の仕事術
時間管理の本質は、タスクを効率よくこなすこと以上に、経営者として「本当にやるべきこと」にリソースを集中させることです。そのためには、時間(リソース)の使い方に明確なルールを設ける必要があります。
ここでは、多忙な経営者が自分の時間を取り戻し、やるべきことに集中するために有効な5つのテクニックを紹介します。
テクニック1:タスクを「重要度」と「緊急度」で仕分ける
まずは、自分が抱えているすべてのタスクを書き出し、「重要度」と「緊急度」の2軸で分類します。これは「アイゼンハワー・マトリクス」と呼ばれる思考法です。
- 重要かつ緊急:今すぐやるべき仕事(例:クレーム対応、納品)
- 重要だが緊急でない:最優先で時間を確保すべき仕事(例:経営戦略、人材育成、新商品の企画)
- 重要でないが緊急:簡略化するか、他者に任せる仕事(例:一部の問い合わせ対応、アポイント調整)
- 重要でも緊急でもない:やめるべき仕事(例:効果のないSNS更新、不要な会議)
多くの経営者は「1」に追われがちですが、ビジネスを成長させるのは「2」の仕事です。自分がどの領域に時間を使っているかを可視化することが、時間管理の第一歩です。
テクニック2:「パーキンソンの法則」を意識し、作業に期限を設ける
「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という法則を聞いたことがあるでしょうか。これは「パーキンソンの法則」と呼ばれ、例えば「締切が1週間後」の仕事は、1日で終わる内容でも、つい1週間かけてしまうという心理を表しています。
これを防ぐには、一つひとつのタスクに「ここまで」という明確な時間制限(タイムボックス)を設けることが有効です。例えば「企画書作成は60分で骨子を完成させる」と決めて取り組むことで、集中力が高まり、だらだらと作業するのを防げます。
テクニック3:デジタルツールで「忘れる」仕組みを作る
「あれもこれもやらなければ」と頭の中だけでタスクを管理しようとすると、脳のメモリを常に消費してしまい、目の前の仕事に集中できません。
タスク管理ツールやカレンダーアプリを活用し、やるべきことはすべて書き出しましょう。そして、「頭で覚える」のではなく「ツールに覚えてもらう」のです。やるべきことを外部に記録することで、脳は「忘れる」ことができ、その分、思考や実行にリソースを割けるようになります。
テクニック4:顧客対応や雑務の「仕組み化」を進める
毎日発生する定型業務(ルーティンワーク)に、どれだけ時間がかかっているか把握していますか。例えば、問い合わせの一次返信、SNSの定型投稿、請求書の発行などです。
これらの業務は、テンプレートを活用したり、一部を自動化したりできないか検討しましょう。「仕組み化」を進めることで、自分が直接対応する時間を大幅に削減できます。
仕組み化は、将来的に外注やスタッフ雇用に移行する際の基盤にもなります。
テクニック5:「戦略を考える時間」を最優先で確保する
特に重要なテクニックがこれです。多くの経営者が「時間が余ったら戦略を考えよう」と考えがちですが、残念ながらその「余った時間」は、自然には生まれないものです。
週に一度、あるいは毎日30分でも構いません。「重要だが緊急でない仕事(テクニック1の領域2)」のための時間を、あらかじめカレンダー上でブロック(確保)してください。その時間は他のアポイントを入れない、メールを見ないなど、集中できる環境を意図的に作ることが、経営者として最も重要な時間管理術です。
雑務を効率化し「社長の仕事」に集中する環境づくり
スモールビジネスの経営者が「やるべきこと」に集中するためには、日々の雑務をいかに効率化するかが鍵となります。例えば、ホームページの更新や顧客管理、お知らせの配信などは、ビジネスに不可欠ですが時間がかかりがちな業務の代表例です。
「3do1(サンドイッチ)」は、スモールビジネスの運営に必要なホームページ作成(CMS)と顧客管理(CRM)の機能を一つにしたツールです。
HTMLやCSSなどの専門知識がなくてもテキストや画像ベースでホームページを更新できたり、顧客情報を一元管理してスムーズな対応を可能にしたりすることで、日々の運用コスト(時間)の削減に貢献します。
こうしたツールを活用して定型業務を仕組み化することも、経営者の貴重な時間を生み出す有効な時間管理術の一つです。
まとめ:時間管理とは「未来への投資」の時間を確保すること
ひとり社長や経営者にとって、時間は貴重なリソースの一つです。
日々の業務に追われるだけでなく、今回紹介したテクニックを活用し、「ビジネスを成長させるための仕事」に意図的に時間を使うことが重要です。まずはご自身の時間の使い方を見直し、一つでも実践できることから始めてみましょう。
用語解説
本記事で使用した用語を解説します。
タスク管理
行うべき作業(タスク)を把握し、優先順位をつけ、効率的に完了できるように管理することです。
アイゼンハワー・マトリクス
タスクを「重要度」と「緊急度」の2軸で4つの領域に分類し、優先順位を決定するためのフレームワークです。米国のアイゼンハワー元大統領が用いたことから、この名で呼ばれています。
パーキンソンの法則
英国の歴史学者シリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した法則で、第一法則は「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というものです。
CMS (Content Management System)
コンテンツ・マネジメント・システムの略。ホームページ作成の専門知識(HTMLやCSSなど)がなくても、テキストや画像を入力・管理することで、簡単にホームページを構築・更新できる仕組みのことです。
CRM (Customer Relationship Management)
カスタマー・リレーションシップ・マネジメントの略。日本語では「顧客関係管理」と訳されます。顧客との関係を管理し、長期的に良好な関係を築くための手法や、それを支援するツールのことです。


